2010-08-12(Thu)
巡査長 美咲 ~淫妖水魔編~ ≪第五話≫
二日後の夜、初動捜査の報告会が行われた。
DNA鑑定も高橋が持っていたものと一致したので、死亡した女性は山口さゆりと断定され、
しかも本名だったので田舎の親族にもすぐに連絡は取れた。
鑑識の報告によれば死亡推定時刻は4月23日未明、死亡推定原因は「急性脱水症状」によると判断された。
首を絞められたとか、体に傷ついている部分はなく、胃の内部にも毒物は検出されなかった。
ただひとつ、死亡直前に全身の筋肉の収縮があったように見受けられるという項目が追加された。
現場報告は、死亡当日は部屋の玄関鍵は閉められており、外からの侵入者の痕跡は見られない。
ただベランダにある窓の鍵は開いており、16階の最上階から降りてくることは可能性があると思われる。
預金通帳、印鑑は存在し、翌日第一発見者の高橋氏の立会いにより金目の物の紛失は認められなかった。
部屋内部にも争った形跡はなく、死亡直前までいつもと変わらぬ生活をされているように思われる。
ただひとつ、鑑識からの報告によれば、山口さゆりさんのものとは違う、
数本の若い女性の髪の毛と思われる長い毛を採取しており、
これについての身元は、お店関係者を調べたところ該当者はいなかった。
以上の結果、殺人や物取りの事件性は認められず、
何かの原因によって急速に水分が体から蒸発して亡くなられたと判断しました。
「美咲さん、お疲れさんだったね」
「いえ、美咲! 頑張りました!」
後ろでクスクス笑う山科に振り返り、「何がおかしいのよ」
「いえ、別に・・・ 25にもなって『美咲、頑張りました』って言うかよ」
「いいじゃなぁい、初めてだったんだから、少ない人数でいくの・・・」
「いやいや、美咲ちゃんは頑張った。 この私が言うのだから間違いない」
渡辺課長は割って入り、二人を遠ざけた。
それでも美咲は突っかかって、山科を睨みながら
「まだ、何か言うことあるの?」
「いえいえ、ございません。 ご立派に活躍していただきました」
「ほらね。 そうでしょう。 そういう風に言えばいいのよ」
「じゃぁ、私、みんなにお茶を入れてくる」といって部屋を出て行った。
「課長、お願いだから美咲さんとペア組むの、なるべく堪忍してくださいよ」
「だめだよ。 年も近いし、頼むよ。 山科君しかいないから」
二人の会話から岸上、蒼井、真辺が逃げるように、ス~っと席を立った。
「あ~~、ずる~い! みんな! ほんと、勘弁しってて」
六係に笑い声が起こった。
DNA鑑定も高橋が持っていたものと一致したので、死亡した女性は山口さゆりと断定され、
しかも本名だったので田舎の親族にもすぐに連絡は取れた。
鑑識の報告によれば死亡推定時刻は4月23日未明、死亡推定原因は「急性脱水症状」によると判断された。
首を絞められたとか、体に傷ついている部分はなく、胃の内部にも毒物は検出されなかった。
ただひとつ、死亡直前に全身の筋肉の収縮があったように見受けられるという項目が追加された。
現場報告は、死亡当日は部屋の玄関鍵は閉められており、外からの侵入者の痕跡は見られない。
ただベランダにある窓の鍵は開いており、16階の最上階から降りてくることは可能性があると思われる。
預金通帳、印鑑は存在し、翌日第一発見者の高橋氏の立会いにより金目の物の紛失は認められなかった。
部屋内部にも争った形跡はなく、死亡直前までいつもと変わらぬ生活をされているように思われる。
ただひとつ、鑑識からの報告によれば、山口さゆりさんのものとは違う、
数本の若い女性の髪の毛と思われる長い毛を採取しており、
これについての身元は、お店関係者を調べたところ該当者はいなかった。
以上の結果、殺人や物取りの事件性は認められず、
何かの原因によって急速に水分が体から蒸発して亡くなられたと判断しました。
「美咲さん、お疲れさんだったね」
「いえ、美咲! 頑張りました!」
後ろでクスクス笑う山科に振り返り、「何がおかしいのよ」
「いえ、別に・・・ 25にもなって『美咲、頑張りました』って言うかよ」
「いいじゃなぁい、初めてだったんだから、少ない人数でいくの・・・」
「いやいや、美咲ちゃんは頑張った。 この私が言うのだから間違いない」
渡辺課長は割って入り、二人を遠ざけた。
それでも美咲は突っかかって、山科を睨みながら
「まだ、何か言うことあるの?」
「いえいえ、ございません。 ご立派に活躍していただきました」
「ほらね。 そうでしょう。 そういう風に言えばいいのよ」
「じゃぁ、私、みんなにお茶を入れてくる」といって部屋を出て行った。
「課長、お願いだから美咲さんとペア組むの、なるべく堪忍してくださいよ」
「だめだよ。 年も近いし、頼むよ。 山科君しかいないから」
二人の会話から岸上、蒼井、真辺が逃げるように、ス~っと席を立った。
「あ~~、ずる~い! みんな! ほんと、勘弁しってて」
六係に笑い声が起こった。