2012-10-12(Fri)
下田の海 6話
海岸で荷物をまとめると、待合わせの場所に向かうとすでに男の子たちが待っていました。
温泉は駐車場から道路を渡ったその反対側に施設はあります。
天然かけ流し温泉で露天風呂? 屋根もなく誰でも自由に出入りできそうです。
浴槽は10人くらいが入れる小さなお風呂でしたが、暖かいお風呂が気持ちいい。
お風呂から上ると個室のシャワー室があり、シャンプーも石鹸も備えてあり自由に使っていいとの事でした。
体を綺麗に洗い、着替えたら荷物をまとめて出発です。
男の子たちは自転車で来ていましたが、私の車に同乗することにしました。
食堂は車では10分もかからない近いところです。
お店の前には大きな駐車場があり、数台の車が止まっています。
男の子のあとをついて店に入りました。
「おやじー、ちょっとこの人になんかお昼作ってよー」
「なんだ、なんだ! 『おやじ』っていうからよ、また小遣いねだりに来たのかと思ちゃうじゃねえか。
おっ、こりゃまたベッピンさん。
どうした! ナンパしてきたか? まぁ、おまえにゃぁこんなべっぴんさんをナンパできる玉じゃねえわな。
そんで、お譲ちゃんもこんなむさくるしいやつ相手にしないわな」
「なに、ごちゃごちゃ言ってんだよ。 なんかお昼作ってくれよ、腹減ったよ」
「いいけどよ。 なにがいい? そうだ! お譲ちゃん、あわび食うか?」
お譲ちゃんと言われると恥ずかしい年なので、調子が狂いそうになります。
「いや、あの・・、そんなあわびみたいな・・・」
「いや、その~、なんだ。 あわびは食った事あるか?」
「おやじ、緊張すんなよ! 言葉が変だぞ!」
「うるせー、なぁ、こんなべっぴんさんが来てくれたのは初めてじゃねえか。
この近所で1番のべっぴんさんはうちの母ちゃんだけんど、その次のべっぴんさんだ。
なぁ、そう言っとかないと後がうるさいからな。 で、あわびは食えるか?」
「そのぉー、食べた事ないです」
「なら、ちょっと切り身にしてやっからよ。 女の人が食ったら共食いだ」
「こらぁ! 父ちゃん! 若い娘さんになんて事いうんだよ。
恥ずかしくってありゃしないよ。 ほんとに! お譲さん、ごめんね。 無神経な人で・・・」
「いえ、あの、その、大丈夫です」
・・・とは言ったものの、意味は知っていたので少し赤くなったような気がしました。
「じゃぁ、魚は焼いたものがいいか、揚げ物にしたほうがいいか?」
「お任せします」
「魚はよぉー、切り身が一番上手いんだ。 その次は焼きもんだな。
暑いけど鍋もうまいぞ。 じゃ、作ってやっからよ。 ちょっと待っててや。 そんでお前らもか?」
「俺も腹ペコだよ」
「じゃ、一緒に作ってやっからよ。 ちょっと待ってろ」
そういうと親父さんは調理場に向かいました。
「なんか、偉く機嫌がいいんじゃないか?」
「なんか、いいことあったらしい・・・」
「でも、楽しいお父さんね」
「この前の大会で、うちの学校が始めて地区大会優勝したもんだから、
県大会ではしゃぎようたら、なかったよなぁ、お前の父ちゃん」
「そうそう、あの大漁旗、思いっきり振り回してたから」
「息子として恥ずかしいよ」
「いいお父さんじゃない」
「ならいいけど、声もでかいから野次もうるさくって」
「あはは、楽しいお父さんね」
「そう言えばさ、地区大会決勝戦のとき、珍プレーがあったんだ」
「えっ、なになに、聞かせて」
「こいつがさー、9回の表で2塁打、打ったんだ。
でも返球がよかったから2塁ベース上でクロスプレー、そしたらこいつ猛然とヘッドスライディング」
「いいだろ、一生懸命走ってセーフになって、それが決勝点になったんだから」
「それはいいんだけど、
2塁ベースで相手のショートのベースカバーめがけてヘッドスライディングしたもんだから、
こいつのヘルメットが相手の股間にぶち当たって相手のやつ、
可哀相にもんどりうって、ひっくり返ったものだから落球してセーフ」
「まぁ、今考えたら暴走だったかもな。 タイミングはアウトだったかもしれんし」
「なぁ、今なら言えるかもしんねえけど、あれ、狙ってた?股間?」
「狙うはずねえだろう。 最終回で2塁まで全力疾走でおまけにスライディング、勢いしかなかったし」
「まぁ、そうだろうな。 でもあのランは良かったと思うけど。
でさー相手のやつ、股間押さえてもんどりうってしばらく動けなかったもんな」
「たぶん、まともに入ったと思うよ」
「あれはきついな。 想像しただけで痛くなる」
「おねえさん、わかる?」
「あはは、わかるわけないでしょ」
「そりゃ、そうだよね。 ついてないし」
「あら、なにが?」
「いや、その、あのぉ・・・別に・・・」
お姉さんらしく大人の対応をしました。
「アハハ、この年だから言わなくってもわかるわよ。
ちょっと意地悪言っただけ。 でもね、女の人も強く打ったら痛いのよ」
「へー、お姉さんも、経験、あるんだ」
「小さい頃、鉄棒でね」
「あちゃー、痛そう。 男だったらたまんねえな」
「あははは」
温泉は駐車場から道路を渡ったその反対側に施設はあります。
天然かけ流し温泉で露天風呂? 屋根もなく誰でも自由に出入りできそうです。
浴槽は10人くらいが入れる小さなお風呂でしたが、暖かいお風呂が気持ちいい。
お風呂から上ると個室のシャワー室があり、シャンプーも石鹸も備えてあり自由に使っていいとの事でした。
体を綺麗に洗い、着替えたら荷物をまとめて出発です。
男の子たちは自転車で来ていましたが、私の車に同乗することにしました。
食堂は車では10分もかからない近いところです。
お店の前には大きな駐車場があり、数台の車が止まっています。
男の子のあとをついて店に入りました。
「おやじー、ちょっとこの人になんかお昼作ってよー」
「なんだ、なんだ! 『おやじ』っていうからよ、また小遣いねだりに来たのかと思ちゃうじゃねえか。
おっ、こりゃまたベッピンさん。
どうした! ナンパしてきたか? まぁ、おまえにゃぁこんなべっぴんさんをナンパできる玉じゃねえわな。
そんで、お譲ちゃんもこんなむさくるしいやつ相手にしないわな」
「なに、ごちゃごちゃ言ってんだよ。 なんかお昼作ってくれよ、腹減ったよ」
「いいけどよ。 なにがいい? そうだ! お譲ちゃん、あわび食うか?」
お譲ちゃんと言われると恥ずかしい年なので、調子が狂いそうになります。
「いや、あの・・、そんなあわびみたいな・・・」
「いや、その~、なんだ。 あわびは食った事あるか?」
「おやじ、緊張すんなよ! 言葉が変だぞ!」
「うるせー、なぁ、こんなべっぴんさんが来てくれたのは初めてじゃねえか。
この近所で1番のべっぴんさんはうちの母ちゃんだけんど、その次のべっぴんさんだ。
なぁ、そう言っとかないと後がうるさいからな。 で、あわびは食えるか?」
「そのぉー、食べた事ないです」
「なら、ちょっと切り身にしてやっからよ。 女の人が食ったら共食いだ」
「こらぁ! 父ちゃん! 若い娘さんになんて事いうんだよ。
恥ずかしくってありゃしないよ。 ほんとに! お譲さん、ごめんね。 無神経な人で・・・」
「いえ、あの、その、大丈夫です」
・・・とは言ったものの、意味は知っていたので少し赤くなったような気がしました。
「じゃぁ、魚は焼いたものがいいか、揚げ物にしたほうがいいか?」
「お任せします」
「魚はよぉー、切り身が一番上手いんだ。 その次は焼きもんだな。
暑いけど鍋もうまいぞ。 じゃ、作ってやっからよ。 ちょっと待っててや。 そんでお前らもか?」
「俺も腹ペコだよ」
「じゃ、一緒に作ってやっからよ。 ちょっと待ってろ」
そういうと親父さんは調理場に向かいました。
「なんか、偉く機嫌がいいんじゃないか?」
「なんか、いいことあったらしい・・・」
「でも、楽しいお父さんね」
「この前の大会で、うちの学校が始めて地区大会優勝したもんだから、
県大会ではしゃぎようたら、なかったよなぁ、お前の父ちゃん」
「そうそう、あの大漁旗、思いっきり振り回してたから」
「息子として恥ずかしいよ」
「いいお父さんじゃない」
「ならいいけど、声もでかいから野次もうるさくって」
「あはは、楽しいお父さんね」
「そう言えばさ、地区大会決勝戦のとき、珍プレーがあったんだ」
「えっ、なになに、聞かせて」
「こいつがさー、9回の表で2塁打、打ったんだ。
でも返球がよかったから2塁ベース上でクロスプレー、そしたらこいつ猛然とヘッドスライディング」
「いいだろ、一生懸命走ってセーフになって、それが決勝点になったんだから」
「それはいいんだけど、
2塁ベースで相手のショートのベースカバーめがけてヘッドスライディングしたもんだから、
こいつのヘルメットが相手の股間にぶち当たって相手のやつ、
可哀相にもんどりうって、ひっくり返ったものだから落球してセーフ」
「まぁ、今考えたら暴走だったかもな。 タイミングはアウトだったかもしれんし」
「なぁ、今なら言えるかもしんねえけど、あれ、狙ってた?股間?」
「狙うはずねえだろう。 最終回で2塁まで全力疾走でおまけにスライディング、勢いしかなかったし」
「まぁ、そうだろうな。 でもあのランは良かったと思うけど。
でさー相手のやつ、股間押さえてもんどりうってしばらく動けなかったもんな」
「たぶん、まともに入ったと思うよ」
「あれはきついな。 想像しただけで痛くなる」
「おねえさん、わかる?」
「あはは、わかるわけないでしょ」
「そりゃ、そうだよね。 ついてないし」
「あら、なにが?」
「いや、その、あのぉ・・・別に・・・」
お姉さんらしく大人の対応をしました。
「アハハ、この年だから言わなくってもわかるわよ。
ちょっと意地悪言っただけ。 でもね、女の人も強く打ったら痛いのよ」
「へー、お姉さんも、経験、あるんだ」
「小さい頃、鉄棒でね」
「あちゃー、痛そう。 男だったらたまんねえな」
「あははは」